レモン茶の工房

描き方

手の描き方について

さて、今回は手の描き方についてです。こいつは多くの人を苦しめたことでしょう。頑張って理解してものにしていこうと思います。負けない!


まずは骨から。

細かーい。

正直手根骨の形は自信ないっス。

 

尺骨と橈骨の先にある部分を手根と言い、その部位にある骨の群を手根骨と言う。

その手根骨も8つの骨に分けられ、それぞれ噛み合うようにくっついている。

手根骨からにくっつく骨が5つありここからそれぞれの指が伸びているイメージ。

指の骨は主根側からそれぞれ中手骨、基節骨、中節骨、末節骨と続く。また名称は、母指(親指)から小指にかけて第一中手骨、第二中手骨・・・第五中手骨というように呼ぶ。

ちなみに親指には中節骨が存在せず、他の指と比べて骨が1つ少ない。

 

手根骨は細かいが、そんなにしっかり覚えなくてもいいかなと思う。それぞれが大きく動くわけではなくまとまって動くので、ひと塊として認識しておけばいいかと。

筋肉を勉強するときに分かるが、中節骨もほとんどは手の筋肉で覆われこちらもバラバラに動くわけではないので、ひと塊としての認識でいいかな。ただし母指は別で普通に動く。

手根周りの動きについて。

 

橈骨の先は皿のようになっていてここで手根骨が動くイメージ。

尺骨と橈骨そして手根骨の内、手前側にある舟状骨(しゅうじょうこつ)月状骨(げつじょうこつ)三角骨(さんかくこつ)が接している。尺骨と橈骨の先で3つの手根骨が回転するように動くことができ、動きは前後方向と小指側に少々。親指側には動かない。

 

また他にも、親指の付け根部分にあたる大菱形骨(だいりょうけいこつ)と第一手中骨が接しており、こちらも大きく動く。動き方は手のひら側へ動く内転と左右方向に少々。手の甲側に動く外転は頑張れば少し動くが、まぁほとんど動かないようなもんかな。

  

この辺の骨の動きのイメージは少しは役に立ちそうな気もするので、頭の片隅にでも置いておくとよさげ。

そういえば大菱形筋という筋肉があるが、これは背中の方の肩甲骨と胸椎の間にある。マギラワシー。

 

ちなみに手首側から手根骨を見ると、豆状骨(とうじょうこつ)と有鈎骨(ゆうこうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)と大菱形骨(だいりょうけいこつ)が出っ張っており、空間ができているように見える。ここに腱がまとめて通るみたいですね。これも頭の片隅に置いておこう。

指の骨。

 

中手骨はその名の通り手の中にある骨。一般的にはこの部分は指とは言わないですが、骨のつながり的には指の始まりといってもいいんじゃないかな。手を握ったときに大きく出っ張る部分があるのでよく覚えておきたいところ。

 

その先に基節骨、中節骨と続き、最後に末節骨がある。それぞれ関節部分が太くなっていてこれは筋肉がついても特徴としてわかるので、覚えておきたい。

末節骨の形は結構特徴的ですね。指の腹の肉は案外厚く、触っている限りじゃ骨の形は把握できない。

 

骨は、こんなところですかね。

筋肉


お次は筋肉。手の表面には腱なんかもくっきり出るところがあるので、それらも意識しながらやっていきます。

まずは内側から、中手骨の間にある筋肉。

 

背側骨間筋は手のひらを反らす時に使う筋肉。

掌側骨間筋は手のひらを内側に収縮(?)する時に使う筋肉。難しい。指を使わず手のひらのみでものをつかもうとしたらこの筋肉を結構使うことになる。

母指内転筋は母指を内側に内転させる筋肉。

手をめいっぱい広げた時、母指と示指の間に薄く広がってよく目立つ筋肉。表面に出る特徴ある筋肉なので、第三中手骨全体から第一中手骨の先に伸びる筋肉ということをしっかり覚えておきたい。

 

短母指屈筋は母指を手首側に屈める時に使う筋肉。より外側の筋肉に隠れるので、そこまでしっかり覚えなくてもよさそう。

 

母指対立筋と小指対立筋は両方の指を内側に動かすときに使う筋肉。母指と小指をくっつけるように動かすときに使われる。

 

まだ内側の方の筋肉だが母指内転筋は重要な感じするね。

浅いところにある筋肉。

 

短母指屈筋は先ほどもやりましたが、そちらは深いところにある筋肉。こちらはより浅いところの筋肉。

母指の付け根の目立つ筋肉の一つで、膨らみ内での内側の筋肉ですね。

 

短母指外転筋は、母指の付け根の膨らみで一番見える範囲が大きい筋肉。膨らみ内での外側はこの筋肉と、母指対立筋。

 

短小指屈筋、小指外転筋は小指の筋肉の膨らみを作る筋肉で、手のひらの小指側の膨らみの大半はこいつら。

 

このほかにも指の先に伸びる腱が中央に多く通っているが、それは後ほど。

 

ここまででやった母指側の4つの筋肉をまとめて母指球筋といい、小指側の3つの筋肉と後でやる短掌筋という筋肉をまとめて小指球筋という。

手のひらを描く上でこの母指球筋と小指球筋を意識することはかなり重要だと思われるので、しっかり覚えておきたい。

 

手にある筋肉の主なものはこのあたりでしょう。まだ細かい筋肉とそれぞれの指に伸びる腱があるので、そちらもやっていきます。

指を動かす筋肉は前腕に多くあるので、そちらの方も一緒にやります。

 

まずは深指屈筋から。こいつは尺骨の肘付近から末節骨まで伸びていて、指を曲げる際に使う筋肉の一つ。

手首に向かうにつれ細い腱になり、指先に向かう。

 

長母指屈筋は深指屈筋の母指バージョンみたいなもの。こいつの起始は橈骨にある。前腕にある母指の屈筋はこれのみで、他は手の母指球筋にある。

 

虫様筋は長母指屈筋の腱から基節骨の停止に伸びている。第三関節を曲げる際につかう。

 

手根骨には豆状骨と舟状骨、大菱形骨の間に空間があり、前腕から伸びる屈筋の腱はその空間を通る。

豆状骨、舟状骨、大菱形骨はそれぞれ出っ張っているので、普通に触ってわかる。絵を描く際は、出っ張りを描くまではいかずとも、あるということを意識できると一つの基準にはなりそう。

次は浅指屈筋。これは、上腕骨、尺骨、橈骨それぞれから中節骨へと、深指屈筋の上に重なるようにして伸びている。

浅指屈筋も深指屈筋と同様に、先になるにつれ細い腱になり豆状骨と舟状骨、大菱形骨の間を通る。

ちなみに腱の停止付近では深指屈筋の腱を通す孔が開いており、深指屈筋の裏側に回り込んでいるよう。イラストを描く際に参考になるかどうかは知らん。

 

前腕から伸びる指を動かす屈筋(腱)はこれで全部で、手根にある空間に通る腱を上から蓋をするように横手根靭帯という靭帯がある。屈筋支帯ともいう。そして、手根骨とこの横手根靭帯に囲まれたところを手根管といい、多くの屈筋の腱がここを通る。

掌の筋肉や重要そうな靭帯、それと手首を動かす際に使う筋肉です。

 

尺側手根屈筋と橈側手根屈筋は手首を内側に曲げる際に使われる筋肉で、両方とも起始は肘の片側にある。手首はここに引っ張られるように曲がるというイメージを持っておくといいかも。

尺側手根屈筋は手根の豆状骨に停止があり、橈側手根屈筋は第二、第三中手骨に停止がある。手首付近に浮き出る腱はどちらも手根骨の目立つ出っ張りに向かって伸びているように見えるので、豆状骨、舟状骨、大菱形骨のそれぞれの位置を把握しておくことで、腱を描く際に迷わない。

 

他に手首に表れる屈筋腱としては長掌筋があり、これは手根屈筋と同じ位置から首相腱膜まで伸びている。長掌筋は現在は使われていない筋肉だそうで、人によってあったりなかったりするらしい。こいつの腱は橈側手根屈筋の隣、尺骨側に出るが、あったりなかったりする筋肉の腱なので描いたり描かなかったりでいいかな。手首付近がなんか物足りなかったら描けばいいと思う。

 

手のひら側で他に注目すべきは、まず先ほど出た手掌腱膜。これは手の皮膚がずれないように固定する役割がある。これによって手でものをつかみやすくしているらしい。ぶっちゃけ表面上は見てもよくわからないので、意識しなくてもいいかなとは思うが、一応。

 

その手掌腱膜から小指球筋側の皮膚に伸びているのが短掌筋。これも通常時では表面上に見てわかるものではないが、手のひらに力を入れると多少の膨らみが見られる。力を入れると現れる類の筋肉なので、しっかり覚えておくのがいいでしょう。

 

次に第二から第五指の間にある浅横中手靭帯という靭帯。基節骨の中間あたりに横に薄くひろがる膜のようなもの。手を広げた際に指の間に出てきて、手の輪郭を形成するものなので、相当重要でしょう。ポイントは基節骨の中間あたりを目安に端があるというところでしょうかね。また、手のひら側にあるので、手の甲側から見るとへこんでるように見える。

 

 

それぞれ手のひら側を描くには重要なものばかりだと思うのでので、覚えたいところ。

続いて手の甲側にいきます。

 

前腕の中間あたりからいろいろ伸びているのでそこから。

まずは示指伸筋。これは示指を伸ばすのに使われ、第二末節骨にくっついている。

 

続いて長母指伸筋。これは示指伸筋より少し上から母指の末節骨まで伸びていて途中に橈骨を通るわけだが、橈骨にはこの長母指伸筋の腱が通るための溝がある。

小さい出っ張りもあるため長母指伸筋がここに引っかかっている様なイメージを持っておくとわかり易いかな?出っ張りは触ってみてもギリギリわかるので、イラストを描く際に少し気にしておくと良さそう。

 

続いて短母指伸筋。これは長母指伸筋と同じような役割だが、停止は基節骨のほう。

この短母指伸筋と長母指伸筋の腱に囲まれている部分は、親指をめいっぱい伸ばすように力を入れると溝ができるので、手に力が入る場面を描く際はこの特徴を上手く出せるといい感じ。

 

次は長母指外転筋。これは、短母指伸筋と同じように伸びていき第一中手骨で停止する。

手を正面から見ると、この長母指外転筋と短母指伸筋は手首の付け根の一番外側を通る。手首を描く際は重要になってくると思うので、意識しておきたい。

 

他に、橈側主根伸筋がある。これは長短の二種類あり、上腕骨から手に向かって伸び、先ほど出てきた筋肉の下を通り第二、第三中手骨で停止する。

前腕を描く際は意識した方がいいだろうが、手周辺ではあまり表面に出るような感じはしないので、そこまで意識しなくてもいいかな。前腕の外側から手の甲の示指と中指に向かって伸びているということは覚えておくと前腕を描く際に役立ちそう。

残りの筋肉。

 

まず総指伸筋。これは母指以外の指の末節骨に伸びており、それぞれを伸ばすときに使う。

また、手の甲側ではこの筋肉の腱が表面にでて、結構目立つので、手を描く際はめちゃくちゃ重要になる。どこから始まってどこを通りどこに停止するのかをしっかり覚えておきたい。

 

小指伸筋は小指のみに伸びる伸筋で、手首付近までは総指伸筋と同じような道を通る。が、手では小指に伸びる総指伸筋よりも外側を通り指先に伸びている。

中手骨の上を通る小指伸筋と、手首の中心あたりから中手骨の頭まで伸びる総指伸筋があるので、それぞれ覚えておくのがよさそう。

 

尺側手根伸筋は手首の一番外側を通る筋肉。手首付近の尺骨のでっぱりの内側を通り、第五中手骨にくっつく。

外側を通る割にはそこまで特徴があるようには見えないが一応覚えとこ。

 

筋肉はこんなとこですかね。

Tips


複雑なので、まずは描く際に目安となる比率やら目立つ部分やらをピックアップしてまとめておきたい。

手も例にもれず人によって千差万別なんで、比率に関してはだいたいこんなもん、くらいに考えるのがいいかな。

 

個人的に特に意識しておきたいのは、指の付け根と関節までの空間。ここを意識すると手っぽさがぐんと上がる気がする。手のひらのシワを描くとその空間が意識しやすいので、最終的に消すにしてもしわを入れておくと描きやすそう。

 手のひらの比率はわかり易く1:1にしたが、ちょい縦長の方がきれいな感じはする。

可動域について。

 

前後方向に動かす場合に、反らす動きは親指側へ、屈める動きは小指側へ傾く。手首を動かす筋肉と腱がどこからどこについているかを把握しておくと手首の動きはわかりやすい。尺側手根伸筋など、「○○手根〇筋」という名前のもの。

 

横の方向に動かす場合では親指方向にはほとんど動かない。手根骨の舟状骨と、腕の骨である橈骨の接する位置と動き方をなんとなく意識できるとよさげ。またこちらも、手を引っ張る筋肉を把握しておくとなおわかり易い。

描く


次は勉強したことを踏まえて練習していきます。

基本は見ながらで・・・

手の構造が分かっても難しいもんは難しいんだ。

やっぱり数こなして描き慣れていくのが1番ですね。

 

結局のところその時その時でごまかさず描いていくことが大事ですかね。一朝一夕で描けるようになるというものでもないですし。

ただ今回基本的な構造を知ることができたので、普段描いていく上でもこれを意識していくことで絵の解像度は上がったかなと。

日々精進ですね。